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というほどでもない気はしますが割とうわぁ…ってなるかもしれない系のリチャソフィ短文。

先日ちょっとむしゃくしゃしたときにごりごり書いてtwitterにポイしたものです。悲恋系?
内容が内容だしあとで消すーと言ってたんですが、某方にうおおおおってなる素敵なものを頂いちゃったので勿体ない気がして救済してみました。

読んで色々と物悲しい気分になっても一向に構わない!という方は続きをどうぞ。


imitation

 今日、綺麗な金髪の人を見かけました。ちょうど長さも同じくらいで、すれ違った後もつい目で追ってしまいました。でもね、服装は全然違ったの。それに背もちょっと低かったかな。だから見間違えたわけじゃなかったし、似ているとも思わなかったんだよ。なのにどうしてかな。急にすごく、どうしてもね、
「――貴方に会いたいって、そう思ったの」
 だから来ちゃった、と淡く微笑む。
 柔らかな風がふわりと吹いて、わたしの髪を優しく攫った。それはまるで貴方の指が触れたときのようで、その感触にそっと目を細めた。この国に満ちる翠緑の風は、いつだってわたしにとても優しい。
「大丈夫。寂しくはないよ」
 嘘をついたつもりはなかった。わたしの周りには沢山の人がいて、みんな大切に思ってくれている。勿論、わたしもみんなのことが大好きだ。だけどもう一度吹いた風は、無理しなくていいよと言うように、柔らかく体に纏い付いた。
「……うん。そうだね、本当はちょっと……寂しい、かな」
 だからね、と一度言葉を切る。少し目を閉じて考えて、そしてまた開いて笑顔を作った。
「寂しくなったら、また会いに来るね」
 わたしのその言葉に、応えるかのように。
 絶え間なく穏やかに吹き抜ける風が、一瞬だけ僅かに強さを増した。大理石の墓標に捧げた花が揺れ、薄紫のひとひらが高く舞い上がる。
 涼やかなその風の中に刹那、微笑む貴方が見えた気がした。

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