- 2011/04/2213:53
- カテゴリー: TEXT, TOG-リチャソフィ
人影もまばらな午後の図書館。外の喧噪は遠く、静かなその中には書架を行き来する人の控えめな足音と、紙とペンの擦れる音だけが微かに響いている。
「ねえリチャード、この問題がわからないの」
「これかい? これはこの公式を使うんだよ。ほら」
「そっか、これをこうして……あれ?」
できたと思ったのに、と言いたげな顔で首を傾げたソフィを見て、リチャードはくすりと笑みを漏らした。ちょうどそれは難解で躓きやすい種類の問題だったから、間違っている箇所をひとつずつ丁寧に解説していくことにする。
「ここの計算が違っているんだよ。こっちが先で、この括弧の中は後回しだから……そうしたら、答えが変わってくるだろう?」
「あ、そうか。そうだね」
じゃあこれも違うねとペンを走らせ始めるソフィを、うんうんと頷きながら暫し見守る。程なく次の箇所で詰まった彼女に、そこはねとまた別のアドバイスを。
「数学って難しいね」
なかなか解けない問題に、ソフィはしょんぼりと肩を落として言う。可愛らしいシュシュでまとめられたサイドテールも、本人の感情を表すように、ほんの少し項垂れているように見えた。だがそんな姿もまた愛らしく、微笑ましくてつい苦笑してしまった。
「リチャードに笑われたー……」
「ごめんごめん。ちゃんと教えてあげるから、拗ねないで頑張ろう?」
「むー」
ぷうっと頬を膨らます少女に、謝りながらまた笑う。それはそんな仕草が可愛くて堪らないからなのだが、おかげで不誠実と取られたのか、それだけでは御機嫌は治らなかった。
「小テスト、明日なんだろう?」
「……うん」
「じゃあ、いい点が取れたらうちでカニタマをご馳走するよ。どうだい?」
「ほんと!?」
途端きらきらとソフィの目が輝き、身を乗り出して確認する。期待に満ちた眼差しからは、不機嫌もあっさり消し飛んでしまったらしいのが窺えた。
「僕はソフィに嘘ついたことなんてないだろう?」
「うん! わたし頑張る!!」
俄然やる気を取り戻した様子のソフィに、じゃあ続きをと優しく促す。先ほどとは打って変わって、わかるまで教えてねと意気込む彼女に対し、密かな微笑を堪えるのに一苦労するリチャードだった。
学パロっていいよね、とふと思った結果がこれだよ!
セレブ優等生なリチャードはソフィちゃんにしょっちゅうお勉強教えてあげてたらいいんだ…。試験前はアスベルも混ぜて三人で一緒に勉強会だよ。でもきっと教えるのはリチャードばっかりなんだろうなー。それでリチャードは(教え方が)ソフィにだけ丁寧で俺には厳しいとかって文句言われてたら楽しいねっ。
でもそんなこと言ったら勿論、「君は僕と同級生だろう?」とかって叱られるわけです。同じこと習ってるのに先生と生徒だからね! そして反論できずに膨れるアスベル…とか、考えていると私が非常に楽しい。
誓い組の三人は、男二人ともソフィにはひたっすら甘いけど、男同士だと微妙にべったり仲良し!だけじゃないところがいいなーと思ったり。陛下はちょっと皮肉っぽいことやら意地悪なことも言うんだよね、兄貴風吹かせるというか。そしてアスベルは大体勝てない。でも二人がボケ倒してるとちゃんと突っ込みもするし逆も然りだし、いいトリオだよねほんと…。根底にあるのはやっぱり『大好き!』だし、ほんっと可愛いなぁと思います。ついでに学パロだと変な引け目もないだろうから、もっと年相応にきゃっきゃしてるといいよねなんて。